【副腎白質ジストロフィー
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(特定疾患治療研究事業における認定基準
 平成15年6月18日厚生労働省健康局疾病対策課長通知)

 ◇副腎白質ジストロフィーの診断基準

1.主要症状及び臨床所見

各病型で高頻度に認められる所見は以下のとおりである。

精神症状
  小児では注意欠陥多動障害,心身症と類似した症状を呈する。成人では,社会性の欠如,性 格変化,精神病に類似した症状を呈する。
知能障害
  小児では学習障害,視力・聴力・認知・書字・発語などの異常が現れる。成人では,痴呆, 高次機能障害(失語,失行,失認)などを呈する。
視力低下
  初発症状として多い。視野の狭窄,斜視,皮質性の盲など。
歩行障害
  痙性対麻痺(痙性対麻痺を呈することが多いが,ときに左右差を認めることもある)による 歩行障害。
錐体路徴候
  四肢の痙性,腱反射の亢進,病的反射陽性。どの病型においても高頻度に認められる。
感覚障害
  表在及び深部知覚障害。AMN では,脊髄性の感覚障害を示す例が多い。
自律神経障害 排尿障害,陰萎など。
副腎不全症状 無気力,食欲不振,体重減少,色素沈着(皮膚,歯肉),低血圧など。

2.参考となる検査所見

(1) 極長鎖脂肪酸分析

C26 :0 ,C 2 5 :0 ,C 2 4 :0 などの極長鎖脂肪酸の増加を認める。血清スフィンゴミエリン,血漿総脂質,赤血球膜脂質などを用いて分析する。極長鎖脂肪酸の蓄積の程度と臨床病型の間には相 関性はない。女性保因者の約80 %で極長鎖脂肪酸の増加を認める。

参考値(血清スフィンゴミエリンC26 :0 /C 2 2 :0 )

小児型ALD 0.0260 ±0.0084 (n=47 )
正常コントロール 0.0056 ±0.0013 (n=710 )

(2)画像診断(頭部MRI ,頭部CT )

小児型,思春期型,成人大脳型では,大脳白質の脱髄部位に一致して,CT では低吸収域,MRI T2 強調画像では高信号域を認める。病変の分布は後頭葉白質,頭頂葉白質の側脳室周辺部,脳梁膨 大部が多いが,稀に前頭葉白質から脱髄が始まる例もある。AMN 及び小脳・脳幹型では錐体路, 小脳,脊髄小脳路の脱髄を主体とする。活動性の脱髄病変のある部位では,ガドリニウムにより 造影効果を認める。

(3)神経生理学的検査

聴性脳幹誘発電位(ABR )では,波間潜時が延長することが多い。体性感覚誘発電位(SEP )及び視覚誘発電位(VEP )も異常を認めることが多い。末梢神経伝導速度も軽度低下を 認めることがある。

(4)副腎機能検査

臨床的に無症状でも,ACTH 高値やrapid ACTH 試験で低反応を認めることがある。

(5)遺伝子解析

ALD 遺伝子の変異は多彩で,病型と遺伝子変異には明らかな相関は認められていない。同一 の変異を有していても異なる臨床病型を示すことはよく経験される。

(6)病理所見

病理変化は中枢神経系と副腎であるので,生前の診断には役立たない。大脳白質の脱髄,グリ オーシス,血管周囲の炎症細胞浸潤が強いことも本疾患の特徴。
副腎では皮質細胞の膨化,進行期には著明な萎縮を認める。大脳白質マクロファージ,副腎皮質 細胞,末梢神経シュワン細胞に松の葉様の層状構造物を認める。この構造物は極長鎖脂肪酸を有 するコレステロールエステルを含むものと推定されている。


3.鑑別診断

(1)小児

注意欠陥多動障害,学習障害,心身症,視力障害,難聴,脳腫瘍,亜急性硬化性全脳炎(SSPE ), 他の白質ジストロフィー

(2)成人

家族性痙性対麻痺,多発性硬化症,精神病,脊髄小脳変性症,Addison 病,脳腫瘍,悪性リン パ腫,他の白質ジストロフィー


4.診断基準
(1) 主要症状及び臨床所見で述べた項目()のうち少なくとも1 つ以上ある。
(2) 血漿,血清,赤血球膜のいずれかで極長鎖脂肪酸値が高値。
(3) 頭部MRI ,神経生理学的検査,副腎機能検査のいずれかで異常を認める。 確診例としては,下記のいずれかに該当する症例とする。
上記,診断基準(1)〜(3)の項目すべてを満たすもの(発症者)。
家族内に発症者又は保因者がおり,診断基準(2)を満たす男児(発症前男児)
診断基準(1)と(3)を満たす女性で,家族内に発症者又は保因者がいる,あるいは極長鎖脂肪酸 高値である場合(女性保因者)。
ALD 遺伝子変異の有無は診断の参考になる。

5.特定疾患治療研究事業の対象範囲

4 の診断基準における確診例とする。


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