【ライソゾーム病
(特定疾患治療研究事業における認定基準
 平成15年6月18日厚生労働省健康局疾病対策課長通知)
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 【主要項目】
(1)理学所見
 身体奇形、皮膚所見、心雑音、肝脾腫、角膜混濁、関節拘縮などに注意する。神経学的
診察では、知能、眼底所見、眼球運動、筋萎縮、錘体路徴候、錘体外路徴候、小脳失調などに注意する。
(2)血液・生化学的検査所見
 確定診断のためには疾患特異的な代謝異常を生化学的に証明する。蓄積物あるいは中間代謝産物の増加を尿、細胞、組織中に確認する。末梢血リンパ球の空砲化、尿沈査
の異染性物質、骨髄中のGaucher細胞や泡沫細胞(Niemann−Pick細胞)、尿中オリゴ糖の分析などが診断の手がかりとなる。末梢血白血球や培養繊維芽細胞を用いて酵素活性を測定し、酵素欠損を証明する。酵素活性の測定には人工基質や界面活性剤が使われるため、活性化蛋白質欠損の場合には酵素活性の低下を証明できない。酵素機能低下を確認するためには、培養細胞では天然基質の分解を測定する負荷試験が必要となる。出生前診断については、羊水細胞を用いた酵素分析により可能である。
 各酵素遺伝子のクローニングがなされ、ライソゾーム病の遺伝子診断が可能である。
ただし発端者の遺伝子診断にはその原因遺伝子全体を調べる必要があり、かなりの労力を要する。更にその遺伝子変異が酵素機能障害を引き起こすことを確認しなければならない。遺伝子変異が同定されれば、同じ家系の保因者診断や出生前などは容易である。
(3)画像所見
 頭部MRI検査が有用である。異染性白質ジストロフィーやKrabbe病では大脳白質のT2延長病変がびまん性あるいは錘体路に一致して検出される。ムコ多糖症では白質に散在性の点状T1、T2延長病変が見られることがある。
(4)鑑別診断
 乳幼児期発症例では他の先天代謝異常症、先天奇形症候群などとの鑑別をする。成人発症例では、脊髄小脳変性症、運動ニューロン疾患、精神疾患との鑑別が問題になる。
(5)合併症
 重症例での栄養障害、肺炎などの感染症、褥創などが問題となる。
(6)診断基準
 @酵素活性の著しい低下または病因蛋白の欠損/機能異常が、生化学的検査により、または当該遺伝子に病因となる変異が遺伝子検査により確認されること。なお、Fabry病のようなX連鎖遺伝のヘテロ接合体に関し、酵素活性低下が確認されず、遺伝子変異の同定が不明な場合は、家族歴(父親、息子、兄弟)から確認すること。
 A生検組織で蓄積物質が生化学的検査又は形態学的検査により確認されること。
 B尿中でも中間代謝産物の増加が生化学的検査により確認されること(ライソゾーム病の中でもGaucher病のように、尿中に中間代謝産物が排出されない疾患もある。)
 @を満たし、同疾患による症状を有すると認められるものを特定疾患治療研究事業の対象とする。この際、A、Bの所見の有無を確定診断のための参考とする。
   ※ ライソゾーム病臨床調査個人票の臨床所見、検査所見、画像所見、鑑別診断を参照のこと。

  【参考事項】
(1)症状
 ライソゾーム病には約30種類の疾患が含まれ同一疾患でも病型によって症状は異なる。乳幼児期発症のものが典型的であるが、成人発症例は変性疾患との鑑別が問題となる。ガルゴイリズム、骨変形などはムコ多糖症によく見られるが、GMIガングリオシドージスやオリゴ糖鎖の蓄積症にもみられる。皮膚症状としては、被角血管腫瘍がFabry病、ガラクトシアリドーシス、マンノシドーシスにみられる。肝脾腫はGaucher病、Niemann−Pick病、GMIガングリオシドージス、ムコ多糖症などにみられる。
 神経症状は、乳幼児期発症例では精神運動発達遅滞、退行、痙攣、痙性麻痺などがみられ、成人発症例では痴呆、精神症状、痙性麻痺、パーキンソンニズム、不随意運動、運動失調、神経原性筋萎縮などがみられる。
(2)重症度基準
 @ 乳幼児型
 Stage 1:身体的異常※はあるが、ほぼ月齢(年齢)相当の活動が可能である。
 Stage 2:身体的異常※または運動(知的)障害のため月齢(年齢)に比較し軽度の遅
       れを認める。
 Stage 3:身体的異常または運動(知的)障害のため中等度の遅れを認める。
       (DQ=35〜50)
 Stage 4:身体的異常または運動(知的)障害のため高度の遅れを認める。
       (DQ<35) 
 Stage 5:寝たきりで呼吸・循環・肝・腎機能不全のため高度の医療的ケアーが必要。
      ※ 身体的異常:哺乳障害、刺激過敏、痙攣、視力障害、ガルゴイリズム、関節
        拘縮、骨格変形、肝脾腫、心不全症状など
         尚、両方のアリルに遺伝子変異を有するが無症状(例:患者の同胞)なもの
        は参考基準として重症度基準には含めない。
 A 若年・成人型
 Stage 1:症状※※があるが、就労(就学)可能
 Stage 2:日常生活は自立しているが、就労(就学)不能
 Stage 3:日常生活上半介助が必要(中等度障害)
 Stage 4:日常生活上半介助が必要(高度障害)
 Stage 5:寝たきりで吸引等の高度の医療的ケアーが必要
 ※※ 症状:痴呆・精神症状、痙性麻痺、関節拘縮、小脳失調、不随意運動、視力障害、
       筋力低下、難聴、痙攣、疼痛発作、心不全症状など

【特定疾患治療研究事業の対象範囲について】
 ライソゾーム病のうち以下のものを対象とする。
 (1)Gaucher病 (2)Niemann−Pick病A,B型 (3)Niemann−Pick病C型
 (4)GMIガングリオシドージス (5)GM2ガングリオシドージス Tay−Sachs病,Sandhoff病,A  B型 (6)Krabbe病 (7)異染性白質ジストロフィー (8)マルチプルサルファターゼ欠損症
 (9)Farber病 (10)Hurler/Schei症候群 (11)Hunter症候群 (12)Sanfilippo症候群
 (13)Morquio症候群 (14)Maroteaux−Lamy症候群 (15)Sly病 (16)ヒアルロニダーゼ欠 損症 (17)シアルドーシス (18) ガラクトシアリドーシス (19) I−cell病ムコリピドーシズV
 型 (20) αーマンノシドーシス (21)βーマンノシドーシス (22)フコシドーシス (23)アスパル チルグルサコミン尿症 (24)Schindler病/神崎病 (25)Pompe病 (26)Wolman病
 (27)Danon病 (28)遊離シアル酸蓄積症 (29)セロイドリポフスチノーシス (30)Fabry病


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