【ウェゲナー肉芽腫症
(平成15年6月18日厚生労働省健康局疾病対策室長通知)
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 ◇ウェゲナー肉芽腫症の診断基準

1.主要症状

(1)上気道(E )の症状

E : 鼻(膿性鼻漏,出血,鞍鼻),眼(眼痛,視力低下,眼球突出),耳(中耳炎),口腔・ 咽頭痛(潰瘍,嗄声,気道閉塞)

(2)肺(L )の症状

L : 血痰,咳嗽,呼吸困難

(3)腎(K )の症状

血尿,蛋白尿,急速に進行する腎不全,浮腫,高血圧

(4)血管炎による症状

全身症状: 発熱(38 ℃以上,2 週間以上),体重減少(6 カ月以内に6 L以上)
臓器症状: 紫斑,多関節炎(痛),上強膜炎,多発性神経炎,虚血性心疾患(狭心症・心 筋梗塞),消化管出血(吐血・下血),胸膜炎

2.主要組織所見
E ,L ,K の巨細胞を伴う壊死性肉芽腫性炎
免疫グロブリン沈着を伴わない壊死性半月体形成腎炎
小・細動脈の壊死性肉芽腫性血管炎

3.主要検査所見

Proteinase ―3 (PR ―3 )ANCA (蛍光抗体法でcytoplasmic pattern ,C ―ANCA )が高率に陽性 を示す。


4.判定

(1)確実(definite )

(a) 上気道(E ),肺(L ),腎(K )のそれぞれ1 臓器症状を含め主要症状の3 項目以上を 示す例
(b) 上気道(E ),肺(L ),腎(K ),血管炎による主要症状の2 項目以上及び,組織所見の1 項目以上を示す例
(c) 上気道(E ),肺(L ),腎(K ),血管炎による主要症状の1 項目以上と組織所見の1 項目以上及びC (PR ―3 )ANCA 陽性の例

(2)疑い(probable )

(a) 上気道(E ),肺(L ),腎(K ),血管炎による主要症状のうち2 項目以上の症状を示す 例
(b) 上気道(E ),肺(L ),腎(K ),血管炎による主要症状のいずれか1 項目及び,組織所 見 の1 項目を示す例
(c) 上気道(E ),肺(L ),腎(K ),血管炎による主要症状のいずれか1 項目とC (PR ―3 ) ANCA 陽性を示す例

5.参考となる検査所見
白血球,CRP の上昇
BUN ,血清クレアチニンの上昇

6.識別診断
E ,L の他の原因による肉芽腫性疾患(サルコイドーシスなど)
他の血管炎症候群(顕微鏡的PN ,アレルギー性肉芽腫性血管炎(Churg ―Strause 症候群) など)

7.参考事項
上気道(E ),肺(L ),腎(K )のすべてがそろっている例は全身型,上気道(E ),下気 道(L ),のうち単数もしくは2 つの臓器にとどまる例を限局型と呼ぶ。
全身型はE ,L ,K の順に症状が発現することが多い。
発症後しばらくすると,E ,L の病変に黄色ぶどう球菌を主とする感染症を合併しやすい。
E ,L の肉芽腫による占拠性病変の診断にCT ,MRI 検査が有用である。
PR ―3ANCA の力価は疾患活動性と平行しやすい。
  表: ウェゲナー肉芽腫症の重症度分類                                     
                                                                     
 
  1度   上気道(鼻、耳、眼、咽喉頭など)および下気道(肺)のいずれか一臓器以上の症状を示すが、免疫抑制療法(ステロイド剤、免疫
       抑制薬)の維持量あるいは投薬なしに1年以上活動性の血管炎症状を認めず、寛解状態にあり、血管炎症状による不可逆的な
       臓器障害を伴わず、日常生活(家庭生活や社会生活)に支障のない患者。

  2度   上気道(鼻、耳、眼、咽喉頭など)および下気道(肺)のいずれか二臓器以上の症状を示し、免疫抑制療法を必要とし定期的外来通       院を必要とするが血管炎症状による不可逆的な臓器障害(鞍鼻、副鼻腔炎など)及び合併症は軽微であり、介助なしで日常生活(家       庭生活や社会生活)を過ごせる患者。

  3度   上気道(鼻、耳、眼、咽喉頭など)および下気道(肺)、腎臓障害あるいはその他の臓器の血管症候により、不可逆的な臓器障害
      (注1)ないし合併症を有し、しばしば再燃により入院又は入院に準じた免疫抑制療法を必要とし、日常生活(家庭生活や社会生活)に      支障をきたす患者。

  4度   上気道(鼻、耳、眼、咽喉頭など)および下気道(肺)、腎臓障害あるいはその他の臓器の血管炎症候により、生命予後に深く関与す      る不可逆的な臓器障害(注2)ないし重篤な合併症(重症感染症など)を有し、強力な免疫抑制療法と臓器障害、合併症に対して3か月      以上の入院治療を必要とし、日常生活(家庭生活や社会生活)に一部介助を必要とする患者。

  5度   血管炎症状による生命維持に重要な臓器の不可逆的な臓器障害(注3)と重篤な合併症(重症感染症、DICなど)を伴い、原則として
      常時入院治療による厳重な治療管理と日常生活に絶えざる介助を必要とする患者。これには、人工透析、在宅酸素療法、経管栄養       などの治療を必要とする患者も含まれる。
                                                                                   

     注1: 以下のいずれかを認めること
      a. 下気道の障害により軽度の呼吸不全(PaO2 60〜70Torr)を認める。
      b. 血清クレアチニン値が2.5〜4.9mg/dl程度の腎不全
      c. NYHA 2度の心不全徴候を認める。
      d. 脳血管障害による軽度の片麻痺(筋力4)
      e. 末梢神経障害による1肢の機能障害(筋力3)
      f. 両眼の視力の和が0.09〜0.2の視力障害

     注2: 以下のいずれかを認めること
     a. 下気道の障害により軽度の呼吸不全(PaO2 50〜59Torr)を認める。
      b. 血清クレアチニン値が5.0〜7.9mg/dl程度の腎不全
      c. NYHA 3度の心不全徴候を認める。
      d. 脳血管障害による著しい片麻痺(筋力3)
      e. 末梢神経障害による2肢の機能障害(筋力3)
      f. 両眼の視力の和が0.02〜0.08の視力障害


    注3: 以下のいずれかを認めること
     a. 下気道の障害により中度の呼吸不全(PaO2 59Torr未満)を認める。
      b. 血清クレアチニン値が 8.0mg/dl程度の腎不全
      c. NYHA 4度の心不全徴候を認める。
      d. 脳血管障害による完全片麻痺(筋力2以下)
      e. 末梢神経障害による3肢以上の機能障害(筋力3)、又は1肢以上の筋力全廃(筋力2以下)
      f. 両眼の視力の和が0.01以下の視力障害


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