【主要項目】 (1)中年期以降に発症し緩徐に進行する。 (2)失行あるいはその他の大脳皮質徴候 @ 肢節運動失行があり、左右差が目立つ。 A 肢節運動失行が明瞭でなくても、皮質性感覚障害、把握反応、「他人の手」徴候、反射性ミオクロ ーヌスのいずれかがあり、左右差が目立つ。 B 観念運動失行が肢節運動失行よりも顕著な場合は、左右差は目立たないことが多い。 C その他の認知機能障害 稀に、痴呆、異常行動、注意障害、失語などが早期から目立つ例がある。 (3) 錐体外路徴候 @ パーキンソニズム(無動、筋強剛、振戦) :障害は下肢よりも上肢に目立つことが多い。 A ジストニー (4)その他の神経症状 @ 偽球性麻痺(構音障害、嚥下障害) A 尿失禁 (5)画像所見 CT、MRI、SPECTで、一側優位性の障害(大脳半球の萎縮または血流低下)は診断において、重要 な支持的所見である。しかし、両側性あるいはび漫性に異常所見が出現する例もあるので、診断上 必須所見とはしない。 (6)除外すべき疾患 @ パーキンソン病 A 進行性核上性麻痺 B 多系統萎縮症(特に線条体黒質変性症) C 薬剤、脳炎、脳血管障害、外傷など D 類似症状を呈するその他の疾患 (7)判定 次の3条件を満たすものを皮質基底核変性症と診断する。 @ (1)を満たす。 A (2)の1項目以上、および(3)の1項目以上がある。 B 他の疾患を除外できる。 (注)なお、必須ではないが、画像所見によって、他の疾患を除外し、一側性優位性の障害を確認す ることが望ましい。 【参考所見】 大脳皮質基底核変性症(CBD)は、一側優位性が目立つ大脳半球萎縮および基底核変性を生じる神経変性疾患で、特有の大脳皮質症状と運動障害を呈する。 (1)臨床的には、以下の所見がみられる。 @ 中年期以降に発病し、緩徐に進行する。 A 大脳皮質症状として、前頭・頭頂葉症状が見られる。最も頻度が高く特徴的な症状は肢節運動失 行で、この他に観念運動失行、皮膚性感覚障害、把握反応、他人の手徴候、反射性ミオクローヌスな どが出現する。 B 錐体外路症状として、パーキンソニズム(無動、筋強剛、振戦)、ジストニーなどが出現する。症状は 下肢よりも上肢のほうが顕著なことが多い。 C 上記神経症状には、病初期から顕著な一側優位性がみられることが多い。 D 注意障害、痴呆、異常行動のような精神症状は、通常、運動症状よりも遅れて出現する。 E 歩行障害、偽球性麻痺(構音障害、嚥下障害)などが早期から出現するために、進行性核上性麻 痺と鑑別困難な症例がある。 (2)画像所見 CT、MRI、SPECTで、一側優位性の大脳半球萎縮または血流低下を認めた場合には、重要な支持的所見である。しかし、両側性あるいはび漫性の異常を認める例もあるので、診断上必須所見とはしない。 (3)薬物等への反応 L−ドーパや、他の抗パーキンソン病薬への反応は不良である。抗うつ薬、ドロキシドーパ、経頭蓋磁気刺激などが試みられているが、効果はあっても一時的である。 (4)病理学的所見 前頭・頭頂葉に目立つ大脳皮質萎縮が認められ、黒質の色素は減少している。顕微鏡的には皮質、皮質下、脳幹の諸核(視床、淡蒼球、線条体、視床下核、黒質、中脳被蓋など)に神経細胞減少とグリオーシスが認められる。ピック細胞と同様の腫大した神経細胞が大脳皮質および皮質下諸核に認められる。黒質細胞には神経原腺維変化がみられる。ガリアス染色やタウ染色ではグリア細胞にも広範な変性が認められ、特にastrocytic plaqueは本症に特徴的である。 |