◇パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺)の診断基準◇ 【主要項目】 (1)40歳以降で発症することが多く、また、緩徐進行性である。 (2)主要症候 @ 垂直性核上性眼球運動障害(初期には垂直性眼球運動の緩徐化であるが、進行するにつれ上下方向への注視麻痺が顕著になってくる) A 発症早期(おおむね1〜2年以内)から、姿勢の不安定さや易転倒性(すくみ足、立直り反射障害、 突進現象)が目立つ。 B ほぼ対称性の無動、あるいは筋強剛があり、四肢末梢よりも体幹部や頸部に目立つ。 (3)その他の徴候 @ 進行性の構音障害や嚥下障害 A 前頭葉性の進行性認知障害(思考の緩慢化、想起障害、意欲低下などを特徴とする) (4)画像所見(CTあるいはMRI) 進行例では、中脳被蓋部の萎縮、脳幹部の萎縮、第三脳室の拡大を認めることが多い。 (5)除外項目 @ L−ドーパが著効(パーキンソン病の除外) A 初期から高度の自律神経障害の存在(多系統萎縮症の除外) B 顕著な多発ニューロパチー(末梢神経障害による運動障害や眼球運動障害の除外) C 肢節運動失行、皮質性感覚障害、他人の手徴候、神経症状の著しい左右差の存在 (皮質基底核変性症の除外) D 脳血管障害、脳炎、外傷など明らかな原因による疾患 (6)判定 次の3条件を満たすものを進行性核上性麻痺と診断する。 @ (1)を満たす。 A (2)の2項目以上がある、あるいは(2)の1項目及び(3)の1項目以上がある。 B 他の疾患を除外できる。 【参考事項】 進行性核上性麻痺は、核上性注視障害、姿勢反射障害による易転側性が目立つパーキンソニズム、 及び痴呆を主症状とする慢性進行性の神経変性疾患である。神経病理学的には、中脳と大脳基底核に萎縮、神経細胞脱落,神経原線維変化、グリア細胞内封入体が出現する。 初発症状はパーキンソン病に似るが、安静時振戦は稀で、歩行時の易転倒性、すくみ足、姿勢反射障害が目立つ。進行するにつれて、頸部の後屈と反り返った姿勢、垂直性核上性眼球運動障害(初期には眼球運動の随意的上下方運動が遅くなり、ついには下方視ができなくなる。)、構音障害や嚥下障害、想起障害と思考の緩慢を特徴とする痴呆や注意力低下が出現する。徐々に歩行不能、立位保持不能となって、寝たきりになる。抗パーキンソン病薬への反応は不良である。一時的に抗うつ薬やドロキシドーパで症状が改善することがある。 非定型例として「純粋無動症」と呼ばれる病型があり、パーキンソン病に似て、歩行障害、すくみ足、易転倒性を特徴とするが、筋強剛や振戦を欠く。眼球運動障害も末期になるまで出現しないことが多い。 |