【悪性関節リウマチ
(平成15年6月18日厚生労働省健康局疾病対策課長通知)
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 ◇悪性関節リウマチの診断基準
  
 1.臨床症状
(1) 多発性神経炎:
知覚障害,運動障害いずれを伴ってもよい。
(2) 皮膚潰瘍又は梗塞又は指趾壊疽:
感染や外傷によるものは含まない。
(3) 皮下結節:
骨突起部,伸側表面もしくは関節近傍にみられる皮下結節。
(4) 上強膜炎又は虹彩炎:
眼科的に確認され,他の原因によるものは含まない。
(5) 滲出性胸膜炎又は心嚢炎:
感染症など,他の原因によるものは含まない。癒着のみの所見は 陽性にとらない。
(6) 心筋炎:
臨床所見,炎症反応,筋原性酵素,心電図,心エコーなどにより診断されたものを 陽性とする。
(7) 間質性肺炎又は肺線維症:
理学的所見,胸部X 線,肺機能検査により確認されたものとし, 病変の広がりは問わない。
(8) 臓器梗塞:
血管炎による虚血,壊死に起因した腸管,心筋,肺などの臓器梗塞。
(9) リウマトイド因子高値:
2 回以上の検査で,RAHA ないしRAPA テスト2 ,5 6 0 倍以上の高 値を示すこと。
(10) 血清低補体価又は血中免疫複合体陽性:
2 回以上の検査で,C ,C などの血清補体成分の低 下又はCH50 による補体活性化の低下をみること,又は2 回以上の検査で血中免疫複合体陽性 (C1q 結合能を基準とする)をみること。

2.組織所見

皮膚,筋,神経,その他の臓器の生検により小ないし中動脈に壊死性血管炎,肉芽腫性血管炎な いしは閉塞性内膜炎を認めること。


3.判定基準

慢性関節リウマチの診断基準(アメリカリウマチ協会の1987 年改定基準(表1)を満 たし,上記に掲げる項目の中で,

(1) 1.臨床症状(1)〜(10)のうち3 項目以上満たすもの,又は
(2) 1.臨床症状(1)〜(10)の項目の1 項目以上と2.組織所見の項目があるもの,を悪性関節リウマチ (MRA )と診断する。

4.鑑別診断

 鑑別すべき疾患,病態として,感染症,続発性アミロイドーシス,治療薬剤(特に金剤,D −ペ ニシラミン,ブシラミンなど)の副作用があげられる。アミロイドーシスでは,胃,直腸,皮膚, 腎,肝などの生検によりアミロイドの沈着をみる。慢性関節リウマチ(RA )以外の膠原病(全身 性エリテマトーデス,強皮症,多発性筋炎など)との重複症候群にも留意する。シェーグレン症候 群は,慢性関節リウマチに最も合併しやすく,悪性関節リウマチにおいても約10 %の合併をみる。 フェルティー症候群も鑑別すべき疾患であるが,この場合,白血球数減少,脾腫,易感染性をみる。

表1:関節リウマチの診断基準(アメリカリウマチ協会改定案1987)

(1)少なくとも1時間以上持続する朝のこわばり(6週間以上持続)
(2)3個以上の関節の腫張(6週間以上持続)
(3)手(wrist),中手指関節(MCP),近位指関節(PIP)の腫張(6週間以上持続)
(4)対称性関節腫張
(5)手・指のX腺変化
(6)皮下結節(リウマトイド結節)
(7)リウマトイド因子の存在

 以上の7項目中4項目を満たすものをRAとする。

表2:悪性関節リウマチの重症度分類

1度 免疫抑制療法(ステロイド薬、免疫抑制薬の投与)なしに1年以上活動性の血管炎症状(皮下結節や皮下出血などを除く)を認めない寛解状態にあり、血管炎症状による不可逆
的な臓器障害を伴わない患者

2度 血管炎症状(皮膚梗塞・潰瘍、上強膜炎、胸膜炎、間質性肺炎など)に対し免疫抑制
療法を必要とし、定期的な外来通院を要する患者、若しくは血管炎症状による軽度の不可逆的な臓器障害(抹消神経炎による知覚障害、症状を伴わない肺腺維症など)を伴っているが、社会での日常生活に支障のない患者

3度 活動性の血管炎症状(皮膚梗塞・潰瘍、上強膜炎、胸膜炎、心外膜炎、間質性肺炎、
抹消神経炎など)が出没するために免疫抑制療法を必要とし、しばしば入院を要する患者、
若しくは血管炎症状によって以下に示す非可逆的臓器障害のいずれかを伴い社会での日常生活に支障がある患者
<3度に相当する不可逆的臓器障害>
 1 下気道の障害により軽度の呼吸不全を認め、PaO2が60〜70 Torr
 2 NYHA2度の心不全徴候を認め、心電図上陳旧性心筋梗塞、心房細動(粗動)、期外
  収縮又はST低下(0.2mV以上)の1つ以上を認める。
 3 血清クレアチニン値が2.5〜4.9mg/dlの腎不全
 4 両眼の視力の和が0.09〜0.2の視力障害
 5 拇指含む2関節以上の指等切断
 6 末梢神経障害による1肢の機能障害(筋力3)

4度 活動性の血管炎症状(発熱、皮膚梗塞・潰瘍、上強膜炎、胸膜炎、心外膜炎、間質性肺炎、抹消神経炎など)のために、3か月以上の入院を強いられている患者、若しくは血管炎症状によって以下に示す不可逆的臓器障害(1〜6)を伴い家庭での日常生活に支障がある患者
<4度に相当する不可逆的臓器障害>
 1 下気道の障害により中等度の呼吸不全を認め、PaO2が50〜59Torr
 2 NYHA3度の心不全徴候を認め、X線上CTR60%以上、心電図上陳旧性心筋梗塞、脚  ブロック、2度以上の房室ブロック、心房細動(粗動)、人工ペースメーカーの装着のいず  れかを認める。
 3 血清クレアチニン値が5.0〜7.9mg/dlの腎不全
 4 両眼の視力の和が0.02〜0.08の視力障害
 5 1肢以上の手・足関節より中枢側の切断
 6 末梢神経障害による2肢の機能障害(筋力3)

5度 血管炎症状による重要臓器の不可逆的臓器障害(1〜6)を伴い、家庭内の日常生活に著しい支障があり、常時入院治療、又は絶えざる介護を要するもの
<5度に相当する不可逆的臓器障害>
1 下気道の障害により高度の呼吸不全を認め、PaO2が50Torr未満
2 NYHA4度の心不全徴候を認め、X線上CTR60%以上、心電図上陳旧性心筋梗塞、脚  ブロック、2度以上の房室ブロック、心房細動(粗動)、人工ペースメーカーの装着のいず  れか2つ以上を認める。
3 血清クレアチニン値が8.0mg/dl以上の腎不全
4 両眼の視力の和が0.01以下の視力障害
5 2肢以上の手・足関節より中枢側の切断
6 末梢神経障害による3肢の機能障害(筋力3)、又は1肢以上の筋力全廃(筋力2以下)


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