【サルコイドーシス
特定疾患治療研究事業における認定基準
(平成15年6月18日厚生労働省健康局疾病対策課長通知)
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 ◇サルコイドーシスの診断基準

1.主要事項

(1)臨床症状

呼吸器症状(咳・息切れ),眼症状(霧視),皮膚症状(丘疹)など。

(2)臨床所見・検査所見

胸郭内病変
(a) 胸部X 線・CT 所見(両側肺門リンパ節腫脹BHL ,びまん性陰影,血管・胸膜の変化 など)
(b) 肺機能所見(%VC ・DLco ・PaO2 の低下)
(c) 気管支鏡所見(粘膜下血管のnetwork formation ,結節など)
(d) 気管支肺胞洗浄液所見※1 (総細胞数・リンパ球の増加,CD4 /8 上昇)
(e) 胸腔鏡所見(結節,肥厚,胸水など)
胸郭外病変
(a) 眼病変※2 (前部ぶどう膜炎,隅角結節,網膜血管周囲炎など)
(b) 皮膚病変(結節,局面,びまん性浸潤,皮下結節,瘢痕浸潤)
(c) 表在リンパ節病変(無痛性腫脹)
(d) 心病変※3 (伝導障害,期外収縮,心筋障害など)
(e) 唾液腺病変(耳下腺腫脹,角結膜乾燥,涙腺病変など)
(f) 神経系病変(脳神経,中枢神経障害など)
(g) 肝病変(黄疸,肝機能上昇,結節など)
(h) 骨病変(手足短骨の骨梁脱落など)
(i) 脾病変(腫脹など)
(j) 筋病変(腫瘤,筋肉低下,萎縮など)
(k) 腎病変(持続性蛋白尿,高カルシウム血症,結石など)
(l) 胃病変(胃壁肥厚,ポリープなど)
検査所見
(a) ツベルクリン反応陰性
(b) γ グロブリン上昇
(c) 血清ACE 上昇
(d) 血清リゾチーム上昇
(e) 67Ga 集積像陽性(リンパ節,肺など)
(f) 気管支肺胞洗浄液の総細胞数・リンパ球増加,CD4 /8 上昇

※1 気管支肺胞洗浄所見については喫煙歴を考慮する。
※2 ・3 眼・心サルコイドーシスについては別に診断の手引き(表1、表2)を参考とする。

(3)病理組織学的所見

類上皮細胞からなる乾酪性壊死を伴わない肉芽腫病変
生検部位(リンパ節,経気管支肺生検TBLB ,気管支壁,皮膚,肝,筋肉,心筋,結膜など)。
クベイム反応も参考になる。


2.参考事項

(1)無自覚で集団検診により胸部X 線所見から発見されることが多い。

(2)霧視などの眼症状で発見されることが多い。

(3)ときに家族発生がみられる。

(4)心病変にて突然死することがある。

(5)ステロイド治療の適応には慎重を要する。

(6)結核菌培養も同時に行うことが肝要である。


3.診断の基準
(1) 組織診断群(確実) 1−(2)のいずれかの臨床・検査所見があり,1−(3) が陽性。
(2) 臨床診断群(ほぼ確実) 1−(2) 1 ,2のいずれかの臨床所見があり,1−(2) 3の(a) (ツ ベリクリン反応)又は(c) (血清ACE )を含む3 項目以上陽性。

4.除外規定
(1) 原因既知あるいは別の病態の疾患,例えば悪性リンパ腫,結核,肺癌(癌性リンパ管症), ベリリウム肺,じん肺,過敏性肺炎など。
(2) 異物,癌等によるサルコイド局所反応。
   表1:眼サルコイドーシス診断の手引き

    1 臨床所見の特徴
    (1)前部ぶどう膜炎
    (2)隅角結節、周辺部虹彩前癒着時特にテント状PAS
    (3)硝子体の数珠状、雪玉状、塊状、又は微塵状混濁
    (4)網膜血管周囲炎(多くは静脈炎、ときに動脈炎)及び血管周囲結節
    (5)網膜絡膜滲出物及び結節
    (6)網膜絡膜の広範囲萎縮病巣(光凝固斑様又はこれに類似の不定形萎縮斑)
     以上の6項目中3項目以上のときは臨床診断疑群としてサルコイドーシスの診断
     基準1−(2)(3)の検査成績から判断する。

    2 参考事項
    (1)ぶどう膜炎に顔面神経麻痺、角結膜乾燥症や唾液腺障害を併発している場合に
    は、眼サルコイドーシスを疑わなければならない。
    (2)視神経乳頭の充血や肉芽腫はときに眼サルコイドーシスのことがある。
    (3)続発性緑内障の発生に注意しなければならない。

  表2:心臓サルコイドーシス診断の手引き
    (1)組織診断群
      心内膜心筋生検あるいは手術によって心筋内に乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽
     腫が病理組織学的に認められる場合。
    (2)臨床診断群
      心臓以外の臓器で病理組織学的にサルコイドーシスと診断しえた症例に項目(a)と項目
    (b)〜(e)の1項目以上を認める場合。
      (a)心電図ないし、ホルター心電図で右脚ブロック、左軸偏位、房室ブロック、心室頻拍、
       心室性期外収縮(※Lown2度以上)、異常Q波、ST-T 変化のいずれかが認められる。
      (b)心エコー図にて左室壁運動異常、局所的な壁非薄化あるいは肥厚、左室腔拡大が
       認められる。
      (c)201Tl-Cl シンチグラムで灌流欠損、あるいは67Ga-citrateシンチグラムや99mTc-PYP
       シンチグラムでの異常集積など心臓核医学検査に異常が認められる。
      (d)心臓カテーテル検査における心内圧異常、心拍出量低下、左室造影における壁運動異常
       や駆出率低下が認められる。
      (e)心内膜心筋生検で非特異的病変ではあるが、有意な中等度以上の間室線維化や細胞
       浸潤などの病理組織所見が認められる。

    付記
     1 完全房室ブロック、心室頻拍、経過観察中に出現してきた右脚ブロックや心室性期外収縮
      (※Lown2度以上)は特に頻度の高い心電図変化であり、 (b)〜(e)を認めなくても心臓
      サルコイドーシスと考えて対処してよい。
     2 虚血性心疾患と鑑別が必要な場合は、冠状動脈造影を施行する。
     3 副腎皮質ホルモン投与によって上記所見の改善をみた場合は、心臓サルコイドーシスの
      可能性が高くなる。

     ※Lown分類
       0:心室性期外収縮なし
       1:散発する単一の心室性期外収縮
       2:頻発する心室性期外収縮(毎分1個あるいは毎時30個以上)
       3:多形生心室性期外収縮
       4:反復性心室性期外収縮(A : 2連発、B : 3連発以上)
       5:早期性心室性期外収縮(R on T)


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