【多発性硬化症
特定疾患治療研究事業における認定基準
(平成15年6月18日厚生労働省健康局疾病対策課長通知)
目次タ行一覧前へ次へ

 ◇多発性硬化症の診断基準
1.主要項目
(1) 中枢神経系内の2 つ以上の病巣に由来する症状がある。(空間的多発性)
(2) 症状の寛解や再発がある。(時間的多発性)
(3) 他の疾患(腫瘍,梅毒,脳血管障害,頸椎症性ミエロパチー,スモン,脊髄空洞症,脊髄小脳変性症,HTLV ―1-associated myelopathy,膠原病,シェーグレン症候群,神経サルコイドージス,神経ベーチェット病,ミトコンドリア脳筋症,進行性多巣性白質脳症など)による神経症状を鑑別しうる。

2.検査所見
(1) 髄液のオリゴクローナルバンド(等電点電気泳動法による)が陽性となることがある。ただし陽性率は低く、視神経脊髄型で約10%、それ以外で約60%である。

3.参考事項
(1) 再発とは24時間以上持続する神経症状の増悪で、再発の間には少なくとも1ヶ月以上の安定期が存在する。
(2) 1年以上にわたり持続的な進行を示すものを慢性進行型とする。症状の寛解や再発がないにもかかわらず、発症時より慢性進行性の経過をとるものを一次性慢性進行型とする。再発寛解期に続いて慢性進行型の経過をとるものを二次性慢性進行型とする。一次性慢性進行型の診断は、以下のMcDonaldの診断基準(Ann Neurol 2001)に準ずる。オリゴクローナルバンド陽性あるいはIgG Indexの上昇により示される髄液異常は診断に不可欠で、空間的多発性(MRIまたはVEP異常による)、および時間的多発性(MRIまたは1年間の持続的な進行による)の証拠が必要である。(表1・表2)
(3) 視神経炎と脊髄炎を数週間以内に相次いで発症し、単相性であるものをDevic病とする。1ヶ月以上の間隔を空けて再発するものは視神経脊髄型とする。
(4) 病理またはMRIにて同心円状病巣が確認できるものをBalo病(同心円硬化症)とする。

  表1 一次性慢性進行型を示唆する所見

  髄液オリゴクローナルバンド陽性、あるいはIgG Indexの上昇
   および、下記のことにより空間的多発性が証明される
   1)9個以上の脳T2 病変、又は2)2以上の脊髄病変、又は3)4〜8個の脳病変+1個の
    脊髄病変
    または
    MRIによって証明される4〜8個の脳病変または、4個未満の脳病変+1個の脊髄病変を
    伴うVEP異常(遅延、波形は維持される)
   および、下記のことにより時間的多発性が証明される
    MRI(表2を参照) または1年間の持続的な進行

  表2 一次性慢性進行型の診断に関して、病変の時間的多発性に関する
     MRIの基準  
  1.  最初の撮影が臨床事象の発現から3ヶ月以降に行われた場合、ガドリニウム増強病変が存在し、それが最初の臨床事象の責任病巣ではないなら、時間的多発性の証拠となる。この時点でガドリニウム増強病変が存在しない場合は追跡撮影が必要である。追跡撮影の時期は3ヶ月前後が推奨される。この時点での新たなT2病変またはガドリニウム増強病変が存在すれば時間的多発性の証拠となる。
  2. 最初の撮影が臨床事象の発現から3ヶ月未満で行われた場合、臨床事象の発現から3ヶ月以降に行った2回目の撮影で、新たなガドリニウム増強病変が存在すれば時間的多発性の証拠となる。しかし、この2回目の撮影でガドリニウム増強病変がみられない場合でも、最初の撮影から3ヶ月以内の撮影で新たなT2病変またはガドリニウム増強病変が存在すれば時間的多発性の証拠となる。
    注:表1、2は一次性慢性進行型の診断について適用する。それ以外は、主要項目(1)(2)を適用する。



目次タ行一覧前へ次へ